楽水庵ブログ

外国人選手(特に野球)の身体の使い方

よく野球評論家の方が外国人投手や打者のフォームを、「腕っぷしに頼って下半身が使えていない」と言っている事があります。

しかし、果たしてそうでしょうか?

以前にミレーの絵画「落ち葉拾い」について書きましたが、彼ら欧米人と我々日本人とは筋肉の機能が異なっていると思います。
これは、コーカソイド・モンゴロイドとかの人種の違いではなく、祖先が狩猟主体の生活をしていたか農耕主体の生活をしていたかによるDNAの差ではないかと自分は思っています。
だから、同じアジア人でもモンゴルの人と日本人とでも異なっていると思います。

特に腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)の機能がかなり異なっています。
腸腰筋は本来はインナーマッスル(深層筋)なのですが、狩猟民族は獲物を得なければ生きていけないのでこの腸腰筋の機能がアウターマッスル化していると考えています。
だから、一瞬の力は出るが持続させるのは苦手。
しゃがんだり、中腰の姿勢を続けるのは非常にしんどいのです。

翻って我々農耕民族を祖先に持つものは、しゃがんだり中腰の姿勢をキープするのは得意(最近は変わってきているが)なのですが、腸腰筋の大きなパワーは出しにくいのです。
例外は勿論あって、陸上短距離で活躍されている方等は先天的にその機能が優れている方が多い。
福島 千里選手も身体は細いですが大腰筋はかなり太いそうです。
トレーニングで逆さ吊りになって腹筋をされているのをテレビで見ましたが、あれは腹筋だけでなく大腰筋が強くなければできません。

この違いを芸能で例えると、「バレエ」と「歌舞伎」の差ではないかなと感じています。

だから、モンゴルの人が相撲の稽古をしていくと(最初は苦労するでしょうが)強くなるのでしょうか。
ハワイ出身の力士達も「腰高だ」とか言われましたが、実際はしっかり下半身の力を使えていたと思います。
ただ、一般の日本人力士と比べてフォームが違うので、そう言われていただけではないでしょうか。

ハッキリ言って、上半身などいくら鍛えても下半身ほどのパワーは出ません。
速い球を投げられたり強打できたりするのは、彼らなりに下半身の力を発揮できているからです。
ただ、我々日本人から見たら「腕っぷしだけでやっている」と見えるのです。
「見た目のフォーム」だけで判断するのは早計だと感じます。

残念な事は、その腸腰筋の粘り強さを祖先から受け継いだ現在の日本人が、生活の欧米化に伴い「しゃがむ」という動作がなくなってきて腸腰筋が弱くなってきていている事実です。
よくトイレが洋式になった事が原因と言われます。
確かに自分も洋式を使っていますし、これまで変える必要はないと思いますが、その分補うような動きを子供の時からさせていく必要はあるでしょう。
そういう意味で、「ヤンキー座り」なんかは良かったかも知れませんね(笑)



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