楽水庵ブログ

妊娠7ヶ月の妊婦さんに対するテーピング

こんにちは、楽水庵です。

以前に妊婦さんに対するテーピングに関して少し書きました(リンク)。

妊娠前期のツワリに関しては、当院に来られている経産婦の方々に聞き取りしてみると頚椎の詰りがある方はツワリに凄く悩まされていていたようで、逆に首や肩は凝っているものの頚椎の詰りが見られない方はツワリが軽かったという傾向があります。

特に頚椎6-7番間の詰りがあると、カイロプラクティックでいうところの「ジンクパターン」で胸椎11-12番間が詰まってしまいます。
ちょうど胃の入口「噴門」の真後ろに当たるので、この詰りが胃の不快感を増長させているのではと考えられます。

さて、妊娠7ヶ月(第2子)の35歳女性に対するテーピングです。
2週間毎に来ていただいていたのですが、お子さんの入院、それに私の東北遠征などが重なってしまいほぼ1ヶ月ぶりでした。

主訴は足がダルイ、腰が重い、胃がスッキリしない、等。
この方については、妊娠前期のツワリがひどく、上に書いた頚椎6-7番間の詰りがありました。
それに対応している頚椎11-12番間にジェルフィッシュテープを貼りました。
このテープの目的は、この椎間板を直径15㎝の幅でターゲットの椎間板を中心として持ち上げる事です。
これによって椎間板に隙間ができ神経の流れが良くなり、筋肉の機能も正常化されます。

ちょうど前にある噴門周辺の動きが良くなるので、胃も楽になります。
もちろんこれでツワリが完璧に消える訳ではありませんが、かなり楽になるとの事です。

そして、画像でもう一つジェルフィッシュテープ(車輪のように貼っているテープ、人によっては「蓮」とも言いますが)は仙椎2-3番間に貼っています。
ここは腹筋関係に効かす目的で貼っており、ここの機能が正常化されると鼠蹊部がほぐれます。

余談ですが、よく「股関節が固い」と言われている人の中でこの仙椎2-3番間の詰りがある人が結構おられます。
先ほど書いたように、ここが詰まる事によって鼠蹊部の動きが阻害されているからです。

話をこの妊婦さんに戻すと、仙椎2-3番間のジェルフィッシュテープを貼る事によって鼠蹊部の固さをほぐすと、鼠径リンパ節の働きが正常化されます。
妊娠後期の「下肢の浮腫」に対するアプローチとしてもかなり効果的です。
もう一つの画像にある「膝窩筋」に対するテーピングで膝窩リンパ節の働きを良くするのと併用すれば、妊婦さんの下肢の浮腫はかなり防げると思います。

以前に妊婦さんの下肢浮腫に対するアプローチとしてスパイラル状にテーピングする方法を文献で読んだ事がありますが、そういった大層なテーピングをしなくてもこれで十分でしょう。

また、背中から腰に掛けての画像に戻ると、頚椎1番の傾きを腰椎5番で調整しているアジャストテープ(と私は勝手に呼んでいます)を貼っています。
これを貼ると仙椎5番の棘突起を押した時の痛みが消失します。

それに仙腸関節の動きを改善するテーピング。
これは私の方法では5つの方向があり、その5つを試してみて一番気持ち良く仙腸関節が動く(つまり仙骨が楽に動く)方向に貼っています。

最後に腰の真ん中に貼ってある大きなπテープ(真丸のテープ)は腹横筋という、4種類ある腹筋の一番インナーになる筋肉に効かすもので、特に妊娠後期にお腹が前にせり出す事によって起こる腹筋に対して非常に効果的です。
ただ、妊娠前期ではこの腹横筋にアプローチすると良くなく(気持ち悪くなった)、6ヶ月を過ぎてからアプローチすると良い具合になりました。

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時折、妊娠後期でせり出したお腹にテーピングする方法が紹介されていますが、この女性は特にそうなのかも知れませんがお腹に触られる事自体気持ち良くないし、まして妊娠後期で胎動があれば余計に気持ち悪くなってしまうのではないかと話されていました。
1日の内でもお腹の状態はかなり変わるので、私も妊娠中の女性へのお腹へのテーピングはあまりお奨めしません。
もちろん大丈夫な妊婦さんもおられるでしょうが、非常にデリケートな状態なので慎重にすべきだと感じます。

お腹がある程度突っ張るのは仕方ないとして、それよりも妊娠中の下肢浮腫・腰痛・胃の気持ち悪さ等を軽減させてあげられれば十分なのではないでしょうか。

何度も書きますが、本当にデリケートな状態なので「誰かがこう貼ったら楽になる」と書いていたからとお気楽にされるのもどうかと感じます。
お一人お一人状態が異なりますし、妊娠のどの段階化によっても異なります。
2週間前に良かった方法も次回ではNGになる事もあります。
こう書いては身も蓋もないですが、私のやり方がどうしても合わない妊婦さんもおられる可能性も十分あると書いておくのがフェアでしょうね。

楽水庵




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