楽水庵ブログ

「オーバーワークしている方」よりも「仕事をしていない方」へ

こんにちは、楽水庵です。

最近よく考えさせられるのは、人の身体を調整していく時に「ゆるめる」とか「ほぐす」という事が最優先事項なのか、という点です。

僧帽筋、特に上僧帽筋を例にとってみましょう。
当院に来られるほとんどの方に、左の上僧帽筋の辺り(肩の付け根付近)が凄く張っている傾向が見られます。
では、最初にここへアプローチすれば良いのか?
パンパンに張っている、つまり拘縮状態ですが、何故そうなるのでしょう?

答えを先に書きますが、どこか仕事をしていない処があるから左上僧帽筋付近がオーバーワークをしているのです。
一般的な考え方では左上僧帽筋を先ずほぐす(ゆるめる)事をするのでしょうが、これだけではまた直ぐにまたオーバーワークをしてしまいます。

どこの筋肉も単体では動けません。
特に「拮抗筋」と呼ばれる反対の動きをしている筋肉との「収縮と弛緩」のコンビネーションが崩れていると、この場合左上僧帽筋が孤立してしまい、またオーバーワークになってしまうのです。

では、この場合の「拮抗筋」はどこになるでしょう?
細かく言いだせば結構ありますが、左上僧帽筋の場合は反対側、つまり右の上僧帽筋がイの一番に挙げられます。
首や肩の場合、反対側の筋肉と拮抗関係になっている事が非常に多いのです

試しにパンパンに張っている左僧帽筋の筋肉テストをしても反応しますが、パッと見で問題なさそうな右上僧帽筋のテストをすると反応が良くありません。
ですから、この場合に先ずアプローチしなければいけないのは、左上僧帽筋ではなく「右」上僧帽筋なのです。
右上僧帽筋にテーピング等すると左は勝手に良くなっていく事がほとんどです。
もちろん、他の筋肉等に問題があるのならそこにもアプローチしていかなければいけませんが。

よく陸上競技短距離のランナーがレース中にハムストリング(大腿部裏側)の肉離れをする事がありますね。
あれもハムストリング自体に問題がある訳ではありません。
どちらかというとハムストリング自体は正常です。
ほとんどが股関節の他の筋肉達(腸腰筋・中殿筋、あるいは大腿四頭筋等)が正常に働いてくれていないので、正常に働いているハムストリングが『オーバーワーク』してしまった結果なのです。

もちろん、肉離れをしてしまったらそれの処置もしなければいけません。
ただ再発防止の為に一番重要なのは、「ハムストリングにオーバーワークさせない」事です。
ハムストリングにだけアプローチしているだけでは、その選手はハムストリングの肉離れを何回もやってしまう危険があります。

そして、また僧帽筋に話は戻りますが、上僧帽筋の張っている側は上僧帽筋自体は働いていますが、下方の「下僧帽筋」が機能低下している事がほとんどです。
これは、上僧帽筋の筋肉がオーバーワークで長さが短縮される為に下僧帽筋がオーバーストレッチになっているからだと思います。

このように「仕事をしていない方」にアプローチする事によって、更にバランスの良い調整ができますし「怪我の再発防止」にもなります。


楽水庵






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