楽水庵ブログ

名古屋で大学ボート部に講習して感じた事 その1、肩編

こんにちは、「キネシオ ローイング インストラクター」(キネシオテーピング協会認定ボート競技専門指導員)
京都府長岡京市のスポーツ整体院 楽水庵の水谷です。

先日(8月24日)に名古屋に行き某大学ボート部にテーピング等の講習をしてきました。



講習の主眼は、『整え鍛え、更に鍛え整える』という正の連鎖をしていく事。
そうすればもっと上のステージが見えてくる、その為には普段から自分の状態・バランスを確認する。
自身だけでチェックするのは難しいだろうから、常に決まった人とアップやクールダウンして相互チェックを勧めておきました。

皆さん錯覚されているかも知れませんが、トップアスリートだからといって皆バランスが良いとは限りません。
それでも強いのは、「ポテンシャルが高い」からです。
それをポテンシャルが低い選手が同じ事をしても強くなる訳がないのです。
ポテンシャルが低いのなら、まずバランスを整えて質の高い練習・トレーニングができるようになる必要があります。

えてして、皆さん練習・トレーニングに「質よりも量」に重きをなす傾向があります。
しかし、質を伴わず量だけを追い求めていくと、得られる効果はほとんど期待できず逆に怪我のリスクだけ増します。
強い選手達はポテンシャルが高いからそれだけの練習量をこなせるというのを忘れてはいけません。

これも何度も言っていますが、決して私は「ハードトレーニング否定論者」ではありません。
ハードトレーニングをこなせない状態の選手達にダラダラと長時間きつい事をさせる指導者達に怒りを感じているだけなのです。


さて、大学のボート部員、特に男子に多い症状の一つに「肩」の問題があります。
高校からボート部でやっていた経験者の多い大学もあるでしょうが、ほとんどの大学は未経験者が入部していきます。
そして、中高時代野球をやっていた選手がかなりの確率でいます。

そういう選手は皆と言っても良いぐらいの確率で利き腕側の肩関節を傷めています。
具体的には『烏口肩峰靭帯』という上腕と胸の筋肉をリンクさせる靭帯を損傷しています。



こういう「テイクバック」のポジションを頻繁に行う動作が多いと、肩の関節が開いた時に本来縮んでくれなければいけない靭帯に少しずつ弛みが生じてしまうのです。

このままだと、トレーニングだとベンチプレスをすれば利き腕側が挙がらず潰れるし、ローイングですと肩の状態が不安定なのでしっかりドライブ前半で「ハンドルにぶら下がる」事ができなくなります。
苦し紛れに無意識にドライブ前半から肘が曲がったような漕ぎになってしまうのです。
そうすると体重移動が上手く使えず、また変な身体の使い方をするので新たな故障の原因にもなります。

こういう状態になっている選手にその状態を指摘するだけでは、根本的な解決はできません。
「ぶら下がれない」本当の原因を見つけてあげなければいけないのです。

こういった選手は烏口肩峰靭帯にアプローチしてあげると肩の動きが格段に良くなりますし、ローイング自体も良くなります。

本当は入部した時にチェックして対策してあげる事ができれば、そういう選手達はもっともっと伸びる可能性を秘めています。
しかし、実際は肩が原因でパフォーマンスが思うように伸びず逆に怪我したりする事が多いのです。
ですから、これからもこういう事は啓蒙していこうと思っています。

野球以外には、テニス・バドミントン・バレーボール、そしてバスケットボールとかをやっていた選手もこういう症状を持っているケースが多々あります。
大抵が右利きなら右肩なのですが、中にはラクロスのように右利きの選手が左に振りかぶる動作をするスポーツもあります。
また、現在通っている大学生女子は中高時代に運動部に所属していなかったのですが、左の烏口肩峰靭帯を傷めていました。
これは彼女がブラスバンド部でコントラバスを演奏していたせいだと思われます。
コントラバスを支える左腕の形が、ちょうど野球とかでやる「テイクバック」に近いせいです。

このように新しく入ってきた人に対しては、運動歴を含めた活動歴みたいなのを聞きとり該当するようなものがあれば必ずチェックするのがお奨めです。
そうする事によって、スポーツ障害(すでに起こっている可能性が高いが)を未然に防ぎ、その人の競技パフォーマンスを容易に上げてくれるでしょう。

*あくまで個人の感想です
*効果には個人差があります。

楽水庵

過去の記事

全て見る